
歪んだ僕らの
第5章 まどろみ
それから僕達はショッピングをして2人でお揃いの物を買ったり、楽しい1日を過ごした。
手を繋いだまま帰路に着く。
家に近づくに連れてわかばちゃんはどことなく不安げな顔をしてずっと辺りを気にしていた。
理由は想像つくからどうしたの?なんて聞かない。
他愛もない話をしていたら、わかばちゃんの家に着いた。
「じゃあ、名残惜しいけど…わかばちゃん、また明日ね」
「…うん」
「今日はとっても楽しかった。1日ありがとう」
「私も、楽しかった…」
わかばちゃんの目が段々と不安げに揺れていく。
それに気付いているけど気付かないフリをして僕はじゃあと手を振ってわかばちゃんに背を向けた。
すると僕の背中に軽い衝撃と暖かい温もりが広がった。
「…わかばちゃん?」
後ろから細い腕で僕を抱きしめる、わかばちゃん。
「っ行かないで…!1人に、しないで…」
ゾク
その言葉で僕の何かが満たされていく。
縋るものが僕しかなくなってしまった哀れなわかばちゃん。こんな風にしてくれたアイツに感謝しなきゃね。
