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狼からの招待状

第5章 化石の街

「うん…」ユノも碗に指先をおく─
 「わがままが通らないと、リハーサル中でもダンサーに辛くあたったり」「感情的になるんですね」「そうなる…」
 グレはゆっくり話を続けた。
 「以前…。グループから離れていた時期が、チャンミンさんには、ありましたね」「昔の…ことだよ」「その時のチャンミンさんは…」「部屋に引きこもって、…人が怖いって、云うんだ」ユノの瞳が翳る……
 (ユノ。事務所出ようよ、5人揃ってさ)(牢獄だ。息が詰まる。同じスーツの衣装でアイドルの歌…)(ユニット活動だけじゃ不満なんだ)(契約? ユノ誰の味方よ?)(メンバーを思ってくれ、リーダー)(ユノは優遇されてて、チャンミンも…)(目障りだ。マンネのくせに─、生意気…)
 「俺がだらしない、甘かった」「ユノ先輩…」グレが目を伏せた。
 「心当たりがおありなんですね」
ユノは、ため息を吐くと、「チャンミンを守り切れなかった」「ユノ先輩─」
 グレの瞳の、光り…肩に掛かり、渦巻く髪…クリームがかったVネックの白いセーター。
 「グレ…」「はい」顔を上げ、白い衿から、春の海いろのストライプのスカーフが覗く。

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