
狼からの招待状
第5章 化石の街
「1年前になる─」「はい」「事務所の先輩が、逮捕された。薬物で」ユノは女性シンガーの名前を挙げた。「その先輩は、…O先輩は、チャンミンが引きこもった時、面倒見て、…くれた」
そこで口籠り、黙ってしまったユノ。後を引き取るように、グレは、「チャンミンさんは、その女性歌手の先輩から、薬を覚えた」ユノは俯き、唇を噛む。
「…薬の常習に、思い当たることは」「常習…」「昔のことで。若い頃の話を思い出してください」
──「海外の仕事だと…飛行機に乗る前から、機嫌悪くて」「怒りっぽい?」「ろくに口も利かない。イラ立ちを抑えきれないふうだった」「それは…」「O先輩と離れて─、薬貰うあてが離れて─、不安だったんじゃないかな」ユノは腕を組んで、窓の外に目をやる。
「事務所のタレント総出の仕事…、O先輩も一緒にドバイに行ったときは」「中東まで? コンサートだったんですか」「そう、キスすると薬の匂い。楽屋のインタビューがカメラ入るのに─俺を置いて、ホテルのジムとレストランに、鼻歌まじりでシウォンと行っちゃった」「仕事のスケジュール。─すっぽかしですか」「俺の甘さがそこなんだろうけど」
そこで口籠り、黙ってしまったユノ。後を引き取るように、グレは、「チャンミンさんは、その女性歌手の先輩から、薬を覚えた」ユノは俯き、唇を噛む。
「…薬の常習に、思い当たることは」「常習…」「昔のことで。若い頃の話を思い出してください」
──「海外の仕事だと…飛行機に乗る前から、機嫌悪くて」「怒りっぽい?」「ろくに口も利かない。イラ立ちを抑えきれないふうだった」「それは…」「O先輩と離れて─、薬貰うあてが離れて─、不安だったんじゃないかな」ユノは腕を組んで、窓の外に目をやる。
「事務所のタレント総出の仕事…、O先輩も一緒にドバイに行ったときは」「中東まで? コンサートだったんですか」「そう、キスすると薬の匂い。楽屋のインタビューがカメラ入るのに─俺を置いて、ホテルのジムとレストランに、鼻歌まじりでシウォンと行っちゃった」「仕事のスケジュール。─すっぽかしですか」「俺の甘さがそこなんだろうけど」
