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狼からの招待状

第5章 化石の街

 …チャンミンさんは、郊外の専門病院に入院中だそうですが、ユノさんとお見舞いされたことは?
『ありません』
 …ユノさんは事務所が薬物の家宅捜査で、そちらも大変な状況ですね
『彼を、ユノさんを支えていけるように、私も努力します』
 …結婚を考えた交際ですか
『将来に向けては、二人で話し合いをして答えを出したいです』
 …ユノさんのファンの人たちに対してのお気持ちは?
『温かく見守っていただけたら、ありがたいです』

 恵依さんは大阪府出身の28歳。実家は旧財閥系の銀行家一族。母親は京都の元華族令嬢。ひとり娘の恵依さんは両親から溺愛されて育った。弁護士志望で、大学院法学修士課程に在籍の恵依さんは、大学のチャペルで子供たちを集めたイベントを企画する、ボランティア・サークルの活動にも熱心だという。
 長年のパートナー、チャンミンの婚約、入院。 事務所の立件捜査と自身への薬物疑惑。公私共に多事多難なユノにとって、氷室恵依さんは、寄り添ってくれる女性であり、新たなパートナーなのだろうか。
 ………………………
 ─記事には、ユノと若い女性が、カフェのなかでガラス越しに笑顔を交わす写真。

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