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狼からの招待状

第6章 風のなかの二人

「オソオセヨ!」マスターの陽気な挨拶に、最敬礼する。
 「私どもの元見習いが、たいへんご迷惑をおかけしました」「ご丁寧に恐縮です、どうぞお掛けください」カウンターの中央の席を勧める。
 「リーダー。何を飲まれます?」グレが訊くと「レイ─グレ、か…ウォッカ、オン・ザ・ロックを─」名刺を出す。
 「何です? 今さら」白く光る小さなカードを、手に取った。
 “エスコート・クラブ〈ALLAN〉代表 キアヌ・ホゥ”
 「ソンニン、どうぞ」ウォッカを満たしたタンブラーがコースターに、置かれる。「…薫りが、いい」丸いスツールに掛ける。
 「リーダー。この名刺…?」「レイ…グレよ。お詫びかたがた、飲みにきたんだ」「はい。キアヌ…代表─?」「昇格も祝ってくれ」男性的な顎から口元が、綻んだ。
 「エスコートクラブ。─独立ですね」名刺を見たマスターが、シャンパンを後ろの冷蔵庫から、取り出す。 
 「お祝いしましょう」「乾杯だ」「有難う」
シャンパンの2本目も、開けられる。
 「レディース・クラブ《デミアン》の出張ホスト事業部から、エスコート・クラブ《ALLAN》として独立。おれが、初代代表、グレ…改めてよろしくな」

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