
狼からの招待状
第6章 風のなかの二人
けらけらと笑い声。子供たちが、蜘蛛の巣とミイラ男のイラストのある小さなバックから、お菓子を出していた─飛行機のなかでのお楽しみらしい。
「作業療法で、箱庭や音楽…創作活動があるな」「はい」「神経症の患者は要は甘ったれの軽症で、他人にどう思われるか…気になって、所詮は猿真似…パクりしか出来ない。作品もつまらない」「表現が小さいです」「そうだ。それが重篤な精神疾患の場合、他人なんか気にならない。思う存分、創作する。凄味のあるものに仕上がる」
「アーティストですよ、精神病患者で片付けられない」ヨナ・パイクはグレに頬笑みかけながら、頷いた。
─外窓から、飛行機が上昇してゆくのが見える。
星の瞬きを思わす尾翼灯…
「そろそろ、時間だ。─グレ」「ヨナ先輩。お名残惜しいです」ドアから広いホールのような通路に出る。
「ここでいい」エスカレーターの脇のロビーには、大きなソファが透明な円いテーブルを囲むようにある。
「お元気で…ヨナ先輩─またお会いしたいです」「ああ、グレ。リサとチノ教授によろしく伝えてくれ」握手を交わす。 ヨナ・パイクの白セーターの衿もと、小ぶりの十字架は、金のいろ。
「作業療法で、箱庭や音楽…創作活動があるな」「はい」「神経症の患者は要は甘ったれの軽症で、他人にどう思われるか…気になって、所詮は猿真似…パクりしか出来ない。作品もつまらない」「表現が小さいです」「そうだ。それが重篤な精神疾患の場合、他人なんか気にならない。思う存分、創作する。凄味のあるものに仕上がる」
「アーティストですよ、精神病患者で片付けられない」ヨナ・パイクはグレに頬笑みかけながら、頷いた。
─外窓から、飛行機が上昇してゆくのが見える。
星の瞬きを思わす尾翼灯…
「そろそろ、時間だ。─グレ」「ヨナ先輩。お名残惜しいです」ドアから広いホールのような通路に出る。
「ここでいい」エスカレーターの脇のロビーには、大きなソファが透明な円いテーブルを囲むようにある。
「お元気で…ヨナ先輩─またお会いしたいです」「ああ、グレ。リサとチノ教授によろしく伝えてくれ」握手を交わす。 ヨナ・パイクの白セーターの衿もと、小ぶりの十字架は、金のいろ。
