
狼からの招待状
第7章 ブルー・クリスマス
…かさかさ、と乾いた音。
落ち葉が、枯れ葉が、小さな渦を巻く。
「バカ野郎、…失せろ、ぐずぐずするなあ」ガッシャンと、鋭い音。
「あの、─ガキ、糞ガキ─クズ野郎、殺す…まさき」ペッと唾を吐く音。
「うーん。マサキ…」白い息。闇夜の冷気が、虚空を凍らす。
「マサキ。眞、…眞…くん─」喉を鳴らすような音。「愛してる、眞ァ~。眞くん」フゥとため息…「助けてくれ。─神よ」…クリスチャンなのか? 男の独り言は冬の宵の路上に続く。
「─おれはフィアンセ。しあわせ…」韻を踏んだ詩的な呟き。「フィアンセ…婚約者─婚約者を今夜食う」呟きは散文的になる。
「マサキ」「ここよ」明るい軽快な声が応えた。
─黄金のドレス。リボンは燃え上がる炎の赤─金髪の長い巻き毛…臙脂がかったブラウンの革ブーツは、固い路上を氷の上を滑るように、動く。 「なんだァ…」よろめく男の酒臭い息。「ここよ!」黒レースの手袋、肘までの編み飾り…細く小さな黒い指先に、ペンダントが揺れる。
「おじさん。酔っ払いのおじさんの愛してるもの─」
落ち葉が、枯れ葉が、小さな渦を巻く。
「バカ野郎、…失せろ、ぐずぐずするなあ」ガッシャンと、鋭い音。
「あの、─ガキ、糞ガキ─クズ野郎、殺す…まさき」ペッと唾を吐く音。
「うーん。マサキ…」白い息。闇夜の冷気が、虚空を凍らす。
「マサキ。眞、…眞…くん─」喉を鳴らすような音。「愛してる、眞ァ~。眞くん」フゥとため息…「助けてくれ。─神よ」…クリスチャンなのか? 男の独り言は冬の宵の路上に続く。
「─おれはフィアンセ。しあわせ…」韻を踏んだ詩的な呟き。「フィアンセ…婚約者─婚約者を今夜食う」呟きは散文的になる。
「マサキ」「ここよ」明るい軽快な声が応えた。
─黄金のドレス。リボンは燃え上がる炎の赤─金髪の長い巻き毛…臙脂がかったブラウンの革ブーツは、固い路上を氷の上を滑るように、動く。 「なんだァ…」よろめく男の酒臭い息。「ここよ!」黒レースの手袋、肘までの編み飾り…細く小さな黒い指先に、ペンダントが揺れる。
「おじさん。酔っ払いのおじさんの愛してるもの─」
