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狼からの招待状

第7章 ブルー・クリスマス

「ユノ先輩にも、以前から…」微かに頷く。
 「根はチャンミンは優しい奴で…妹たちの塾の勉強を心配したり…子供のときは兄妹ゲンカで叩いたって云うけど」「チャンミンさんは、兄でもあるユノ先輩に、幼児の甘えをしてる」「わがままチャンミンだよ─後輩や女性には気遣いするほうかな」
 紙コップをテーブルに戻し、「ユノ先輩にも、気遣いしたらいい」整った横顔をユノは伺い見た。 
 「性格にかなり偏りがあるようですね」…頷く。
「好き嫌いが、激しい」「そのようですね」
「気を遣うのか、滅多に顔には出さない」
「世渡り上手ですね」
 ……暫く黙って、テーブルの茶菓を片づける。 「ユノ先輩。ゆっくり休んで治してください」 …笑顔になり、そう云った。



 「ユノさん、ユノお兄さん─」愛らしい声に振り向く…「テディです、ぼくのこと─憶えてますか」
 金髪にベージュの帽子。緑色のラインが襟もとにある焦げ茶のセーター。ロングブーツの足を揃えて立つ笑顔の少年…
 


 …「ユノ兄さん」木製のベンチに恋人同士のように、並んで座る。
 「うん?」「顔が腫れてるみたい、どうしたんですか」二人の前には、クリスマスツリー。

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