
狼からの招待状
第1章 幻都
…喉を通り、胃を熱くする。頭が冴えるような、酔い─。……(ユノ。僕…。彼女と婚約)(彼女の留学先─僕も旅行で)…(ユノ! あいつ事故─。緊急入院)…(─出ていってよ…!)…また、ためいきを、吐き出した。(チャンミン)「兄貴…」ドアが勢いよく開き、若い男が入ってきた。
カウンターの中から、たしなめるような視線…。若い男はユノに目もくれずに、奥に行き、二人は小声で話し始めた。
…ユノは丸椅子から腰をあげ、紙幣を置き、ドアに向かった。小声の韓国語は止まない。誰かを探しているらしく、ハングルの人名を囁き合っている。チャン─ミン…と聞こえ、振り返ったが、二人は熱心に顔を寄せ合っていた。─短い階段をようやく登り、重さを増したような霧のカーテンを、掻い潜る気分で歩く。
──ホテルの前に着いていた。
旧式のエレベーターで、部屋に上がる。
寒々とした、天井がドームのように丸く高い、古めかしいワン・ルーム。
窓枠も、洗面台の蛇口も、赤銅色の錆びたような色合い。腰をどさりと下ろしたベッドの柵は、黒ずんだ色をしている。 (あの店に、朝までいるつもりだったけど)
カウンターの中から、たしなめるような視線…。若い男はユノに目もくれずに、奥に行き、二人は小声で話し始めた。
…ユノは丸椅子から腰をあげ、紙幣を置き、ドアに向かった。小声の韓国語は止まない。誰かを探しているらしく、ハングルの人名を囁き合っている。チャン─ミン…と聞こえ、振り返ったが、二人は熱心に顔を寄せ合っていた。─短い階段をようやく登り、重さを増したような霧のカーテンを、掻い潜る気分で歩く。
──ホテルの前に着いていた。
旧式のエレベーターで、部屋に上がる。
寒々とした、天井がドームのように丸く高い、古めかしいワン・ルーム。
窓枠も、洗面台の蛇口も、赤銅色の錆びたような色合い。腰をどさりと下ろしたベッドの柵は、黒ずんだ色をしている。 (あの店に、朝までいるつもりだったけど)
