
狼からの招待状
第2章 霧魔
「ご注文は」訊くフライに、「ソルティー・ドッグできる?」「はい」鼻を鳴らし、「いいお返事、マスターどうしたの」椅子にふんぞり返る。
「今夜は休みです」タンブラーに炭酸水を注ぐグレが云うと、「キミには訊いてない」ねつい目つきで、ぎろりと白眼を向く。(チャンミン)
「ワイン飲むよ。辛口…肉焼いて」「赤で、牛ですか」「任せるから」煩そうに答えると、両脇の子分が薄笑いする。
(チャンミン)カウンターの隅で、スペードのカードを前に置き、肩越しにユノは、男を眺めた。
テーブルに肘をつき、若い男とこそこそ話す横顔…(似てる)…影が差し、見ると女王のカードをブレスレットを王冠のように輝かせた左手が取り、真っ白な丸いコースター、そこに炭酸水のタンブラーをグレが置いている。
炭酸水は軽くレモンが香る…。背後では、忍びわらう声…(チャンミンの、はずがない)陰険な、チェン兄きの声─彫りの深い、暴君の傲岸な顔─物云う大きめな唇が、表情を卑しくする……
─離れたところで、キャビネットを開けるグレの白い横顔と─背に黒く流れる髪。(ちがう…)
「今夜は休みです」タンブラーに炭酸水を注ぐグレが云うと、「キミには訊いてない」ねつい目つきで、ぎろりと白眼を向く。(チャンミン)
「ワイン飲むよ。辛口…肉焼いて」「赤で、牛ですか」「任せるから」煩そうに答えると、両脇の子分が薄笑いする。
(チャンミン)カウンターの隅で、スペードのカードを前に置き、肩越しにユノは、男を眺めた。
テーブルに肘をつき、若い男とこそこそ話す横顔…(似てる)…影が差し、見ると女王のカードをブレスレットを王冠のように輝かせた左手が取り、真っ白な丸いコースター、そこに炭酸水のタンブラーをグレが置いている。
炭酸水は軽くレモンが香る…。背後では、忍びわらう声…(チャンミンの、はずがない)陰険な、チェン兄きの声─彫りの深い、暴君の傲岸な顔─物云う大きめな唇が、表情を卑しくする……
─離れたところで、キャビネットを開けるグレの白い横顔と─背に黒く流れる髪。(ちがう…)
