妄想小説
第3章 2人きりの残業
「ひゃっ、…えっと、ここです」
半分後ろから抱きしめられるような距離感に、加奈子は緊張してしまう。
『…ここはこっちのデータだろ、あとは出来てるよ』
「わかりましたっ」
加奈子は言われた通り入力し始めるが、主任は後ろから手をついた体制のまま動いてくれない。
ガチガチになりながらも、加奈子はなんとか入力を終え、無事にデータを上書きした。
「ふーっ、おわりましたぁ。主任、ほんとにありがとうございました」
『んーん、気にすんなよ』
加奈子はチラチラ斜め後ろを見ようとするが、一向に主任が動く気配がなくて顔に熱が集まっていく。