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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第9章 先輩と傷跡

あたしは明らかに澄くんに避けられている。


でもそんな事実にクラスのだれも気づかない。


「色葉、ランチ行こ!」
「うん」


ミナとサラだって勿論気づかない。


それは当たり前のことだ。


あたしと澄くんの関係は、ふたりだけのものだったんだから。


ふたりでするセックスでしか成り立たなかったんだって、思い知らされる。



でも、きっとそんなんじゃないって幻想みたいな夢をあたしはまだ抱いてた。



だから放課後ひとりでいる背中を見かけて、勇気を出して「澄くん」と声をかけたんだ。



そしたら彼は気だるげに答えた。



「何? 姫路さん」



……澄くんが、”姫路さん”って言った。


もう“色葉”じゃないの……?


“ふたりのときは名前で呼び合おうよ”


そう言ってくれた時のことが頭に浮かぶ。


もう二人の時間は終わったんだって思ったら、


悲しくて、悲しすぎて……なぜか唇は弧を描いていた。



「……さよなら」



小さく頭を下げて、踵をかえした。



日差しの反射するリノリウムの廊下がきらきらと滲んでいく。



「……っ」



澄くんとの関係は終わったんだ。



七月が差し迫る日、あたしは思いっきり失恋した。

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