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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第13章 夏祭りと告白

「あ、ほんとだ。けっこうギリギリじゃん。会計すまさないと」


でもレジは終電狙いのお客さんで小さな列ができている。


「……やばいかも」



あたしは時が過ぎてほしくて、電車が行ってほしくて、ドキドキしながら息をのむ。


「ありがとうございましたー」


「澄くん、お金」


そう言いかけたとき


「いいから走るよ!!」



手を引かれ、風を切って走りはじめた。



浴衣の袖がはためき、足元はからころと音を立てる。



あたしを引いて走る澄くんのベージュの髪が揺れる。



フレグランスと混ざり合った、甘い澄くんの香り。


「はぁ……っ、はぁっ」


あたしにとっての全速力に近い走りで、息が切れる。


「大丈夫、多分間に合う。頑張れ色葉!」


……色葉。



名前を呼ばれてじわりと胸が熱くなっていく。


好き、好き……好き。


改札の前でICカードを取り出そうとした時だった。


「あ……!」


あたしのハッとした小さな叫びに、肩で息をする澄くんが振り返る。


「え? どうした?」



「……ファミレスに、きんちゃく袋忘れてきた」



取り出したお財布だけこうして握っているけど他は会計台に置いたままだ。


「……えぇ?」



はぁ、はぁと息を切らす澄くんは、目を真ん丸にしてから、ぶはっと噴き出した。



「……なにやってんだよ。馬鹿」



こつんとこぶしが優しくあたしの頭におちたとき、終電到着のアナウンスが響いた。



汗の滲む額、乱れた髪。




その下で薄茶色の目があたしと視線を絡ませて、呆れっぽく細まる。


「……アウト」



――ドキンドキンと心臓が動く。


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