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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第13章 夏祭りと告白

「はぁ……どうしよっか」


腰に手を当て、前髪をかき上げながらあたりを見渡す浴衣姿の彼は、存在だけであたしの心臓をバクバク速めてしまう。


「とりあえず、きんちゃく取りに戻ろっか」


そう言って自然と繋がれた手のひら。


「え」


思わず声をだしたせいか、


「あっ」


澄くんも驚いた顔をして、あたしの手を離した。



「……ごめん、つい」


しどろもどろといった様子で視線を泳がす澄くん。


彼に緊張に似たものが見えたからなのかな。


「……繋いでもいい?」


あたしはこんなことを言う勇気が出てしまった。


非日常の夜闇のせいかな……。



小さな星が光を零す空の下、ぎゅっと握られた手が嬉しくて泣きそうになる。


「どうやって帰ろうか。タクシーはとんでもない金額になると思うし……あ、お兄さんは? 迎え呼べる?」


「あ……お兄ちゃん車もってなくて」


「そっか……。始発まで時間つぶすとなると漫喫か……カラオケか、ファミレスか」



羅列される店を思い浮かべて、澄くんといられるならどこでもいいって思う。


歩いていると、ふとガラスに映った自分の姿に目が行った。


そういえばメイクってそういえばどのくらいよれているんだろう……?


浴衣も少し着崩れてる。


「あ、そっか。浴衣で朝までは疲れる? 女子の帯って息苦しいんでしょ?」


「え……と、うん」


「んー、ホテル行く? 寝れるし。俺なんもしないから」


どきんっと胸が大きく鳴った。


「で、でも……今から予約なんかできるの?」


「空いてんじゃないの。祭りだから怪しいかもだけど……。行ってみよ」


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