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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第16章 好きは、マジック

【いろは、だいすき】


びしょ濡れになった折り紙をすくいあげて手に取ると、ぽたりぽたりと水滴が落ちて、地面が濡れていく。


気付けばあたしの目からも涙が零れてた。



「……成功した?」


どこに隠れていたのか、澄くんはあたしのすぐ後ろに立つと、肩の後ろから手元を覗き込んだ。



「お、うまくいってる。よかった」


安心して笑いをこぼす彼に、拍子抜けするよ。


「……なにこれ、どうやったったの? ううん、それより、どういう意味?」


「そのまんまの意味でしょ」


九月の柔らかな風が校舎に吹き付ける。



あたしと向かい合うように立った澄くんは、穏やかに頬を緩める。


「……俺、色葉のことが好きすぎて理性ぶっとんで、大事にできなかったし、もうほんとうに最悪なことばっかりして傷つけたけど……。全部挽回させて。色葉の彼氏として」



「好き……? 彼氏……?」


余りの混乱に単語を機械みたいに繰り返してしまった。


「色葉が嫌じゃなければ」


「嫌なわけないよ……。大好きだもん……情じゃないよ」



「うん。わかった。俺も一般論で決めつけない。色葉は俺が好きなんだよね?」



「……うん」



「俺も大好きだよ。初めて人を好きになった。なんか……下手な恋でごめんね」


「恋に下手とかあるの?」


「ふっ……はは。色葉だなあ……」


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