キツネ様の日記帳~鬼畜変態野郎と〇〇プレイ~
第10章 鬼畜変態野郎と溢れる愛
「また聞きたいな」
「寝てるときに言ってやる」
「意識があるときに聞きたいの!」
「ずっと起きてろよ。ずっと言ってやらねーから」
「もう!何でそうあるかな!」
「俺はクーデレだから」
「クーデレの意味が違うと思うの。あんたの場合は、歪みきった底意地が悪い鬼畜変態野郎よ」
「……あっそ」
「ねぇ、ねぇ」
「何だよ」
「もうお別れしない?何だか今のすべて夢みたいで」
「いや、勝手にしたのおまえだろ」
むぎゅうとこの人の腰をつねったら、めんどくさそうに棒読みで、「シマセン」って言ってくれた。
「ずっと一緒?」
「おまえが俺を受け入れる限り、俺はおまえを手放すつもりはねーよ」
ふとママの言葉を思い出した。
「あなたもパパも、ご主人様の欲望をなめすぎよ~。ようやく出会えた【運命】を手放すわけないわ~」
ご主人様の欲望が何なのか、どれだけ深いのか分からないけど、出会えた【運命】を手放したくない想いは分かる。
だってこんなにも、溢れてる。
「じゃあ、ずっとずーーっと、永遠に、私の旦那様だね!」
「……もっかい、言え」
「何を?」
「あー……その、あれだ、あれ」
「旦那様?」
「そう、それだ」
「私の旦那様!」
「悪くねーな」
涙はもう出なかった。幸せ以外の感情が見当たらない。幸せで嬉しくて、この想いが二人の愛を作り、それが伝染して、世界中に届けば、それこそ幸せだと思った。
愛は世界を、みんなの想いを救うんだ。
それが子どもの戯言で、生半可な気持ちじゃ出来ない理想論ってことも、ただのノロケってのも分かってる。だからこそ、私はこの想いを、奇跡のような運命を平和に結び付けたいと思った。
人間界の王家と魔界の王家を一つに。大昔の約束からやったことのない試みがどうなっていくのか、誰も何も分からない。
何もないけど、溢れてる。
きっとこの愛が、何も見えない暗闇を照らすんだろうと、そう思った。
~完~