
邪恋の爪痕と片恋の彼
第6章 戻らない日常
夕方になっても――――…野田の実家に電話は繋がらず…。
何度もリダイアルを押す俺の手を真壁が止めた。
「――――何か…買ってきますね…お腹に何かいれないと…」
「あ――――…あぁ…悪い」
真壁は俺をベッドに座らせると…
「近くのスーパーで食材買ってきますね…」
と、俺のヨレヨレのスエットを着たまま出ていった。
「――――あぁ…悪い…」
バタンと閉まった扉に呟かったが…気力が無く…声は出なかった。
しばらく…ベッドに座っていたが、再びスマホから野田の実家に電話をしようと指を動かす――――と、
ピンポーン
と、誰かがインターフォンを押す。
「境井さ――――ん!宅配です!」
――――宅配?俺に?
何かを注文した記憶もないし、実家から何か送られてくる場合は事前に連絡がある……。
身に覚えのない宅配に気力のない俺は、立ち上がるもの苦痛になっていた。
しかし――――…
「野田 実さんからの宅配ですけど――――…」
と、野田の名前に俺は反応し――――慌てて玄関を開けた!
