
邪恋の爪痕と片恋の彼
第6章 戻らない日常
俺は、手紙の最後の部分で目が止まった。
“土曜日の午前中――――…”
ドキドキと嫌な緊張が再び俺を襲う。
「土曜日…午前中――――…着く…。あの飛行機…?いや、違う…違う…違う…」
俺は、野田が送ってきたネックレスを握りしめ…再びテレビの前に座った。
――――確かめ…ないと…。
生きてるって――――…確認しないと。
声を聞かないと。
昨日の報道で見たのは――――やっぱり…違うノダミノルだったと…証明しないと。
すると、遅い時間帯にも関わらず…
会社の上司から電話がかかってきた。
「もしもし――――…境井です」
『境井か!?ニュースみたか……。野田が…』
――――嫌だ…聞きたくない…。
『野田が――――…飛行機の事故に巻き込まれて亡くなったかもしれないって!いま、ご家族が…空港に向かっているらしいが……お前には連絡はないか?』
「――――な…ぃ…で……す…」
『そうか――――…、詳しくは分からんが…今ニュースになってる飛行機に乗っていたらしい!
とりあえず……色々と明日――――…分かると思うが…』
上司が電話を切ったが――――…俺は、スマホを耳に当てたまま……動けないでいた。
