
邪恋の爪痕と片恋の彼
第6章 戻らない日常
「!境井さん、しっかりして!大丈夫…大丈夫…大丈夫……」
グッと抱きしめられて俺はハッと我に返る。
――――暖かい…
フワッと頬に人の温もりが伝わる…
――――暖かい…
真壁に抱きしめられ…胸に当てた耳に……トクン…トクンと…鼓動が聞こえた。
「真壁――――…真壁……野田が…野田が……」
「まだ、分かりません!空港もパニックだとネットで見ました!
ちゃんと…報告を待ちましょう!」
俺は、真壁の言葉に何度もうなずいた。
すると――――ジャラ…と、手のひらにからネックレスが床に落ちた……。
――――まだ怖い…
あの報道が…本当だったら――――どうしよう…。
