
邪恋の爪痕と片恋の彼
第6章 戻らない日常
真壁に抱きしめられたまま…俺は――――…
意識を手放した。
願わくば…二度と目を覚ましたくないとさえ…
思った――――――――。
月曜日の朝
願いもむなしく…目が覚めた。
夢だったら良かったのに――――…。
と、朝の情報番組を見て落ち込んだ。
「おはようございます…境井さん」
「…真壁…お前――――…」
昨日は真壁に抱きついたまま気を失い――――そのまま寝てしまったのに…「なぜ、お前がいるんだ?」と言いそうになる。
――――ズキッ…
と、鈍く痛む手のひらに目を落とすと、下手くそではあるが応急処置がされていた。
「――――手…悪かったな…」
「不器用なりに…手当てさせていただきました。
救急箱とか見当たらないので、コンビニまで下着買いがてら行ってきました…」
フワッと笑う真壁に罪悪感からチクッと胸が痛んだ…。
