
邪恋の爪痕と片恋の彼
第7章 殻への興味
結局――――…化け物ママと静かに飲み…客が増え始めた頃に店を出た。
酔ってはいないが足元がフラつく。
「――――ママ…なんか入れた?いや…違う…俺が疲れてるだけか…」
一旦落ち着こうと止まり…深呼吸をすると――――…後ろから声をかけられた。
「あれ?センじゃん――――…久しぶり」
「――――あ、トモさん…」
ゲイbar付近の道だ――――…顔見知りや身体見知りも少なからずいる…。
「なに?珍しく酔ってる?可愛い――――切ない顔になってるぞ?」
――――可愛いとか…
「もう、可愛いって年じゃないですよ?俺…」
「そうか?俺のなかでのお前はいつでも初々しい…ヨチヨチ歩きのセンなんだよ――――」
ヨチヨチ歩きと言われると…その当時の事を思いだし赤面してしまう。
「どう?――――最近は…」
「仕事とか…仕事…とか…で、疲れてます」
“最近”と聞かれると、境井さんの顔が脳裏をよぎり…ドッと疲れる。
