
邪恋の爪痕と片恋の彼
第8章 知らない自分
「ど、どうした?真壁…俺にはお前の不安や不満が……分からない…」
「――――俺は…貴方が…分からない」
――――は?
俺は返された真壁の言葉に…反応出来なかった。
“貴方が分からない”
分からない…
俺だって……
なんで……仕事をしているのか――――分からない…
分からないんだ――――――――…
「――――俺は…」
何か…言いかけて――――…俺は真壁に手を伸ばす――――…が、
体が後ろに揺れる――――!?
「あ――――…」
グラリと大きく揺れたと思うと…視界は会議室の天井を写し出す――――?
「――――!?境井さん!」
耳に…真壁の声が届くと同時に背中に大きな衝撃が走る――――!?
――――痛い…?!
そう思った瞬間…
俺の視界は真っ暗になった――――。
