
邪恋の爪痕と片恋の彼
第8章 知らない自分
―――境井…境井…昼飯食べたか?
いや?まだ――――…
―――なに?何か考え事?まぁ、お前らしいって言えば…お前らしいな?
は?なんだよ…それ――――…
―――…境井ってさぁ、一人で考え込む癖あるよな?
そうか?そんな事ないと思うけど――――…
―――そんなこと有るから言ってんだよ。
はあ?だったらなんだって言うんだよ――――…
――――心配だって言ってんの…。
心配…ってなんで?――――…
――――なんでって……俺はもう、お前の話を聞いてやれないから…。
は?――――――…
―――俺は…死んじゃったからさ…。
は――――?……は?
「――――ハッ!?」
驚いて勢いよく腕を伸ばし――――…目の前にいた野田の腕を掴もうとして…
空を切る――――…。
夢?
目を見開いたのに…視界は暗く…
俺は焦る――――…視力が……?!と、視力低下を疑ったが…
徐々に…視界が辺りのものを認識し始める…
「部屋――――…俺の?…いや…違う…」
キョロキョロと辺りを見渡し…
点滴の袋がぶら下がっていることに気がつき…病院?と自分の頭が正常に働いているとこを認識する。
