
邪恋の爪痕と片恋の彼
第8章 知らない自分
落ち着いて体を起こすと…頭と背中がズキンと鈍痛が走る。
「会議室――――…に、いたよな?」
病院の個室だ――――…と、パタパタと看護士の足音と微かに聞こえるアナウンスから…推理した。
すると、扉が開き――――…人が入ってきた…
「―――目…覚めましたか?」
「真…壁…?ここは…?」
入ってきたのはさっきまで一緒にギャラリーの仕事をしていた…真壁である。
「境井さん――――倒れたんですよ…覚えてますか?」
倒れた?俺が?
「いや――――分からない…会社で…か?」
「ええ――――御船さんが出ていってすぐに……」
あれ?なんか真壁と話した気がするけど……
思い出せない…。
