
邪恋の爪痕と片恋の彼
第8章 知らない自分
「偏見ですよ、病院関係の血筋なら皆が病院関係の仕事につかないといけないって思うのは」
――――う、確かに…。
「すまなかった…」
真壁は大きくため息をつくと、ベッドのそばにあった椅子に腰かけた。
「それより――――なんで…倒れたか……わかってますか?境井さん」
「――――いや…立ちくらみ?貧血かな?」
俺は心当たりがなくて首をかしげた。
「ストレスと――――過度の夏バテと診断されましたが…睡眠不足と栄養失調が主な原因です」
「栄誉失調――――?」
俺は心当たりがなくて真壁の顔を見た。
しかし、真壁は恐ろしい者でも見るかのような目で俺を見る。
「境井さん――――…毎日ちゃんと食ってましたか?昨日はなに食べました?一昨日は?一週間…なに食べたか言えますか!?」
――――真壁は何を言っているんだ?ちゃんと食べないと…動けないだろ?
昨日は――――…ほら、あれを食べた。
ほら、あれ――――…あれだよ…
辛い…
甘い?
酸っぱい……?
――――――――――――あれ?
