
邪恋の爪痕と片恋の彼
第9章 波
俺は境井さんが入院している間はずっと側にいた。
「――――ほら、最後の一口…」
「あ~…ん…」
流石に、2日も俺が食べさせていたら…“あ~ん”にもなれたのか、その日は全部俺の手から食べてくれた。
最初は恥ずかしがっていた境井さんも満足げだ。
「はい――――…完食です。どうですか?体調の方は」
「だいぶ良くなったので、明日には退院だそうです!
真壁には本当に世話になってしまって――――…申し訳ない」
食後のお茶を飲みながら境井さんは頭を下げる。
今日で境井さんとイチャイチャするのが終わりだと思うと…なんだか寂しい。
「早く仕事に復帰したいし――――…真壁もだろ?」
「そうですね」
