
邪恋の爪痕と片恋の彼
第11章 思春期物語
そして、違和感が…違和感じゃなくなる時が来てしまった…。
そう――――…
俺はとうとう…
“憧れ”の相手で――――…
己の右手を白い毒で汚したのだ……。
驚いた…いや――――…驚かなかった…
薄々分かっていたこと……だった。
ただ――――…認めたくなくて…自分が普通じゃないと認めたくなくて…
目を背けていただけたった。
手のひらの白い毒の欲は…
【お前はもう――――…普通じゃない】
と、俺に見せつけた…。
俺は普通じゃない…
信じたくないが事実だった。
俺は男性を性の対象とする…“少数派”なんだと…。
普通じゃない世界の住人だと……
中2の春に…俺は自分に絶望した。
