
邪恋の爪痕と片恋の彼
第11章 思春期物語
その日から、俺は自分が汚い人間のように思えて――――…
異常なまでの手洗いに執着した。
何かを触ったら…いや、触らなくても…手を洗った。
1日に何度も手を洗い――――…中2の俺の手はふやけているにも関わらず油分を失い…無惨な指先をしていた。
それなのに、“憧れ”の男性相手に淫らに鳴く自分を思い描き…
自分自身の身体を慰める日々――――。
皮膚の皮が薄くなり指先がヒリヒリする時もあったが…欲を吐き出す行為が止められなかった――――…。
男性相手に…そう言うことをする自分はおかしい――――…。
おかしい――――…。
そんな自分は…汚い――――…。
俺は自分を慰めた手で箸が持てなくなっていた…
汚い手で掴んだものを口に入れる事が出来なくて…
食事を嫌がるようになった。
そして――――…気がついたら…
食べる事が出来なくなっていた――――…。
