
邪恋の爪痕と片恋の彼
第2章 ペアグラス
「――――初恋…か…。そうかも…初めて人のために何かをしたいと思った…。ずっと一緒にいたい…そばにいたい……って、思ってた。
今まで付き合ってきた彼女たちとは…明らかに違う…感情だったな。
そうか――――…初恋だったんだ……」
そう、思うと――――…昨日の野田の姿がフラッシュバックして…目頭が熱くなる…。
――――ウエディングドレスの彼女を見つめ嬉しそうに頬笑む…タキシード姿の…
野田 実――――…
あの笑顔は…
俺には向けられない――――…
「なんで――――…好きになっちゃったんだろう…」
涙が溢れそうになる――――…
そんな俺の目頭を、クッと真壁の親指が押さえるように上に押し上げる。
