
邪恋の爪痕と片恋の彼
第13章 けじめと荒療治
「///でも――――…あの日から…どんどん覇気が無くなっていく境井さんから…目をそらしてしまった――――…」
確かに…
仕事で話しかけられたら答えていたが…それ以外は話した記憶がなかった…。
「――――怖かったんですかね……、見つめる相手が目の前から消えた貴方が…俺とは別の世界に戻ることを……。そして、それを勝手に裏切りだと…思っていたことを…」
「裏切り――――?」
俺は切なそうに見つめる真壁の顔を覗き混む。
「“男とセックスしたのは気の迷い”って――――…ノーマルに戻る男は少なからずいるし…“ゲイ”を隠して結婚したり子供作ったりする人は確かにいるから――――」
「そ、そうなんだ……」
俺は自分が男が好きだ…と、言う事にこの歳で初めて気がついた――――いわば…遅咲きってやつらしく…そこの所の事情は分かっていない…。
