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邪恋の爪痕と片恋の彼

第4章 日常訓練


“明日から会社”と、自分で口に出して愕然とする――――。


そうだった…明日から――――仕事…。



「名残惜しいですけど、帰りますよ…流石にフォーマルなスーツで会社には行けませんからね」


腰に手を当ててパスタの茹で具合を見ている真壁が連休中着ていたのは俺の服。


俺の部屋着でもあるダサいスエットだが…男前が着ると…なんでか様に見えるからむかつく…しかも、ちょっと丈が足りていない。


「――――ん?寂しいですか?境井さん」


「バカを言うな――――…」


“寂しい”なんて事はない、ただ俺は普通の生活に戻れるのだろうか?と、不安になっただけだ――――。



「ま、また…ちょくちょく来ますから~一人になっても泣かないでくださいね」



「はあ?泣くわけないだろ」



不安に思っている事を悟られたくなくて俺は真壁から視線を外した。


しかし、視線を外した先にオリーブオイルの瓶が入ってきて…変な動揺をしてしまった。





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