
邪恋の爪痕と片恋の彼
第4章 日常訓練
「千寿(せじゅ)とは、珍しいお名前ですね?」
「そう読みたくなりますよね?そう書いて、千寿(せんじ)なんです。紛らわしくてすみません」
御船は間違えたことに焦りながら頭を下げる。
「///それは、失礼しました!」
「いえ、ひねくれた読み方にしたと…両親も反省していましたから…お構い無く」
真壁は慣れた感じで名前を訂正すると、爽やかに笑う。
「さぁ、資料はこれだ――――…まだ、先の話だたと思っているとあっという間たからな!頑張ってくれ!」
部長はそう言うと、時計を見て――――…
「じゃぁ、打ち合わせに行ってくる」
と、部屋を出ていった。
「相変わらず、伊藤部長は忙しそうですね」
「ええ、部長は…すごい人です」
御船は慌ただしく出ていく伊藤部長の背中を見つめ再び柔らかく笑った。
――――尊敬。
御船の目はその2文字をまざまざと…感じさせた。
