
邪恋の爪痕と片恋の彼
第5章 残りカスの薫り
仕事を切り上げると――――、境井さんが俺を見て「終わりか?」と目配せした。
「時間ありますか?」と、聞くと…何も考えずなのか…「無いけど…?」と即答する彼に一瞬戸惑ったが…“OK”なら、良しとした。
先週…性的にグズグズにされた相手の誘いだと言うのに…警戒心がないと言うか…単純と言うか……、よく言えば、純粋と言うべきか悩む境井さんの態度に苦笑いだ。
「ん?――――で、何か問題でもあったのか?」
――――仕事上の相談事があると思ってるなぁ…こりゃぁ…
「ま――――…飲みながらでもいいですか?」
鈍感か!?と、突っ込みを入れたいが…この人はそう言う人だ…。
