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邪恋の爪痕と片恋の彼

第5章 残りカスの薫り


「愛の…大きさ…比べって……」


「少年は、俺に元彼の凄いところ…カッコいい所…可愛い所、ダメな所、ムカつく所――――…全部…俺に言った。

俺は、彼の……カッコいい部分しか知らなかったから――――…“そっか”…って、悟りましたよ。だから、別れたんです…彼は、少年の事をど~思っていたかは知りませんが…少なからず……――――元彼は、俺と出会うのが少年より早かっただけで…

先に少年に会っていたら…何の弊害もなく…二人は恋に落ちたはず――――」



俺は皿に落ちたペンネをツンっと弾くと…恋愛の燃えカスから苦く甘い香りがした――――。



「そっか――――…色々あった…味なんだ…これらは」


「未練がましい…とか…思います?」


「いや――――…未練じゃないだろ?」


――――…?


「真壁は――――やっぱり…凄いな」



境井さんはそう言うと、俺の皿に転がるペンネをつまみ口に入れた。



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