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第4章 商品識別試験

恭子が、事務所に戻ると新入社員の矢沢が声をかけてきた。

矢沢は、大学を卒業して今年入社した新入社員だ。

「冴木さん、今、忙しいですか?」

と矢沢が聞いた。恭子は、

「ちょっと休憩してから外回りに行こうと思っているんだけど、何か用事かな?」

と聞くと、矢沢は、

「もしよろしければ、商品識別試験お願いしたいんですけど……。」

と言う。商品識別試験とは、新入社員を対象に自社の商品を覚えることを目的として行われる試験で、下着を見ずに触った感触だけで商品の品番を当てるというものである。そしてこの試験の週は、女性社員は、それぞれ一週間同じ品番の下着を身に着けていて、新入社員はそれを触っただけで判断し、試験用紙に誰がどの品番の下着を着けていたかを回答しなければならないのである。

この成績も評価の対象になっている。自社の商品にどれだけ関心があるか、知っているかを評価するものである。

「良いわよ!今なら!」

と恭子が言うと、矢沢は、

「それでは、すみませんがお願いします。」

と言いう。恭子は、

「じゃー、矢沢くん!試着室に行こうか!」

と言って、恭子は試着室に向かい、矢沢が後に続いた。

試着室に着くと、二人で試着室に入りカーテンを閉める。

「矢沢くんは目隠ししてね!」

と言って、恭子が試着室に掛けてある目隠しを渡す!矢沢が目隠しすると、

「見えないわよね!見たら失格だからね!」

と恭子が、確認する。

「大丈夫です。見えません!」

と、矢沢が言う。恭子は、

「一応後ろ向いててね!」

と言って、矢沢の肩と腰に手を当て、後ろを向かす。矢沢が後ろを向くと、矢沢の耳には、恭子がカチャカチャと、ベルトを外す音が聞こえ、そのあとジジジーっと音がする。恭子がズボンを脱ぐためにファスナーを下げてるんだな。と音でだいたい確認できる。そして、布の擦れる音がするので、シャツも今脱いだんだなと矢沢は、推測した。

そして恭子は、下着姿になり、

「はい!矢沢くんこっち向くわよ!」

と言って、また肩と腰に手を当て、矢沢を180度回転させた。

「見えてないわよね!」

恭子が、再度確認する。矢沢は、

「はい、大丈夫です。」

と返事をする。

目隠しした矢沢と、下着姿の恭子が、試着室の中で向かい合って立っている格好だ。


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