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星の君と氷の私

第11章 11

翔の部屋に集まって最初の口を開いたのは
心だった

「駿…さっきはごめん。」

「いや、俺こそ…ごめん」

心が謝る必要なんてない

だって俺が雫のことに気づいてあげられていれば
こんなことになんかなっていなかった

俺がもっとちゃんとしてれば…

俺がもっとちゃんと雫の事見ていれば…!!

「駿が自分を攻める必要は無いよ」

「え?」

「そう言ってあげたいけど、ここにいって気持ちをぶつけてからね」

翔から渡された紙には住所が書いてあった

あれ、ここって…たしか…

「明後日、司くんの命日なんだって」

「え、でも…」

「司くんが亡くなったのは3月だけど親御さんの希望で誕生日の日に命日にしてるらしい」

「本来の命日もちゃんとしてるって雫が言ってた」

2人が知ってるのに、なんで彼氏の俺は何も知らないんだろう

一緒に司くんの家に行ったとき、俺は思ってた

雫の心の蓋を開けられたって

なのに隣に雫はいない

1人で抱え込んでいる

なんで、頼ってくれなかったんだよ

………俺ってばかだ…

雫は本当は頼りたかった

1人で抱え込みたくなかった

だから、心や翔に相談してた

全部何もかも言ってた

大切な友達だから

でも、それを彼氏である俺に言わなかった

いや…言えなかったんだ

司くんの件があるから

雫の心の扉を開けたって思ってた

でも実際はそんなことなくて

ちゃんと、伝えないといけないことがある

「2人ともありがとう」

「駿、待ってるから」

俺は静かに頷いた

そこで解散ってなって当日

俺は翔に渡された住所を頼りに司くんのお墓に向かった

着いてみると、1人の女の子がそこにいた

お墓の前でずっと手を合わせている

後ろ姿だけでもうわかった

雫だった…

俺らと一緒にいた頃よりも痩せていて

俺はただ見守ることしかできなかった

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