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星の君と氷の私

第1章 1

「気とか引こうとしてないです」

「しらばっくれるんじゃないわよ!」

ばしゃ、一瞬何が起こったのかわかんなかった

体が急に冷たくなって濡れていて

あ…私、先輩に水かけられたんだ

"水…かけられた…"

何この感情…

胸が締め付けられるような辛い感情

誰かに助けを求めている感情

前にもどこかで…体験したことが…?

"雫ちゃん、最低! 司くんと付き合ってないって言ったじゃん!"

"え、だから私たちは付き合ってないよ"

"嘘だ!昨日2人が歩いているところ見たって言う人がいるもん!"

"それは違うよ!"

"嘘だ!××ちゃんが可哀想だよ!"

"××ちゃん泣かせないで!雫ちゃんの嘘つき!"

ばしゃ、事前に用意されていたのかな

バケツの中に入っている水をかけられた

一気に頭の中に駆け巡ってきた昔の記憶

覚えていなかったのに…どうして急に…

そして蘇る毎日見る夢

「はぁ…っ…はぁ…」

思い出す度に息が出来なくなって

本当に司に殺されちゃうんじゃないかって

不安で心配で夜も眠れなくて

「なんかこの子大丈夫?」

「え、過呼吸?」

先輩たちの顔がどんどん青ざめていく

「は…ぁ……た…っす…はぁ…け」

先輩たちに必死に助けを求めてみたけど息が上手く出来なくて

先輩たちは私からどんどん離れていく

「私たちのせいじゃないんだからね!」

ついに先輩たちは空き教室から出ていってしまった

ど…うしよう…

どんどん辛くなっている…

私…もしかしたらこのまま死ぬのかな…

胸を抑えてみても…全然止まらなくて

私はその場で倒れ込んでしまった

つ…か…さ…助けて…

意識が遠のきそうになったとき、声が聞こえた気がした

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