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星の君と氷の私

第8章 8

そうだったんだ

てっきり俺、神様が味方してくれたんじゃないかって思ってた

優羽には他に好きな人がいて、俺は気持ちを伝えられないから

だから、演劇会だけは優羽のこと好きだって気持ちに蓋をしなくていいよって

隠さないでいいんだよって言ってるって思ってた

でも、実際は優羽は俺のことが好きで

あの配役決めは神様でもなんでもなく翔と心が
みんなに頼んで決めたもので

俺は優羽が辛い思いをしているって気づかなかった

病気だって気づいていたら…?

………俺には一体何ができたんだろう

「優羽が言ってたの。演劇会終わったら告白するって。でも、駿がキスしちゃったから、出来なかった。だからこそ明日するんだって」

「あぁ…」

「でも次の日優羽は発作を起こして倒れたの。一命は取り留めたもののもうお医者さんからもって数日って言われたの」

あの日だ…。

演劇界の次の日、片付けをするって言ってたあの日

結局しなかったけど、俺は優羽に

"また明日"そう伝えた

優羽だって、"また明日ね"って言ってたのに…

優羽にとっての"また明日"はもう来ないんだ

「優羽が最後の力を振り絞ってこれを…駿にって」

心から薄いピンク色の1枚の紙を受け取った

そこには…

"駿大好きだよ 優羽"

そう書いてあった

少し字が綺麗じゃないけど、これは優羽の字だった

優羽、ごめん…

俺がちゃんと優羽のこと気づいていれば…

ちゃんと見ていれば、話も聞けてきっと何かが
変わっていたかもしれない

俺はまた…声を出して泣いた

なんで…なんで…

押し寄せてくるのは後悔ばかり

後悔したってもう遅いのに…

もう優羽は戻ってこないのに…

翔に背中をさすられながら俺はただひたすら泣いていた

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