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星の君と氷の私

第8章 8

翔の肩には俺のカバンが、かけてあった

「入るぞ」

翔たちはそう言って俺の返事も聞かずに、俺の
部屋に入った

「カバンここに置いとくぞ」

「あぁ…」

2人ともきっと俺の事励ましにきてくれたんだ

ただ今その…優しさが辛い

俺も翔も心も喋らない

ずっと沈黙が続いていた

痺れを切らしたのか心が口を開いた

「優羽は…病気だったの」

心の言葉が俺の頭の中をこだまする

病気…だった?

そんなの嘘に決まってる

だって、あんなに元気だったじゃん

「信じられないかもしれないけど…優羽がさ薬
飲んでるところ見た事ない?」

…言われてみれば確かに飲んだいた

お昼の時、いつも俺らは一緒にご飯を食べていた

ご飯後になるといつも優羽が薬を飲んでるから

「何飲んでんの?風邪?」って聞いたことがあった

そしたら優羽は「ダイエットサプリだもん!笑」
ってほっぺを膨らませていた

いつの間にか飲む姿が当たり前になっていた

ダイエットサプリじゃなくて…薬だったのかよ

「優羽はステージ4のがんだった。手術をしたけど…再発をして、それの繰り返しだった」

がん…

俺がいつも見ていた優羽の姿は…元気な姿を作っていただけだった

本当は辛くてしんどくて…きっと泣きたかったと思う

「お医者さんからも卒業は厳しいって言われてた。だから優羽言ったんだって」

"まだやりたいことがある。だから、演劇会に出させて欲しい"って

やりたいこと?それってなんだ?

「お医者さんは可能性があるから治療して欲しいって思ってた。けど、優羽の真剣に何度も頼み込むから聞いたの、やりたいことって何?って」

「そしたら…?」

「駿に好きだって伝えることだって」

え、嘘…だろ?

優羽は他に好きな人がいるんじゃ…なかったのかよ

「だからこそ駿、お前には病気のことは言わなかった」

「お互いが好きだって知っていたから。だからクラスのみんなに頼んであの配役にしてもらったの」

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