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星の君と氷の私

第2章 2

「無理に涙止めようとしなくていいよ」

「え、なんで…分かったの?」

「なんかそんな感じがしたから?笑」

「何それ笑」

「あー!今笑った!」

え…私、ちゃんと笑えてたの?

あの日から…司を失ったあの日から…

私は感情を全部なくしたのに

その方が自分が傷つかなくて済むからって

なのにこの人は簡単に私の感情を引き出そうとしてくる

今だって私が泣き止むまでずっと背中をぽんぽんしてくれている

「も、もうそろそろ大丈夫」

「うん、りょーかい笑」

優しい笑顔を向け私から離れていった相田くん

あ…もう少し…

って何が!?

いや、久しぶりの人の温もりだった

司を失ってから私は人の温もりに触れずに

生きてきたから。

だけど…今日久しぶりに…

「あのさ、ひとつ聞いていい?」

「な、何?」

「過去になんかあった?」

ドクッドクッ…急に心臓がうるさくなった気がした

平然を装わないと

誰にも気付かれてはいけない

しっかりしろ、私

「…何も無いよ」

声は震えていてすぐに嘘だってバレるぐらいに

多分、私が嘘ついたことはバレてると思う

でもこれ以上は深く関わって欲しくない

どうしてかって?

関わったところで相手を信じたところで1人に
最終的にはなるから

だったら最初っから1人でいた方がいい

「え、でもさ…「ごめん、帰る!」」

私は相田くんの声に覆い被さるようにわざと

声を出して保健室から出ていった

自分の荷物は教室にあってよかった

もう、放課後になってたんだ

だったら教室には誰もいないか

私は自分の教室に行き、荷物を詰め込んだカバンを持って帰ることにした

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