ブラコンですが、なにか?
第9章 Be loved by Jun①
「じゃあ、行ってくるね」
お皿を洗い終わった頃、スーツに着替えた翔にぃが顔を覗かせた。
「あっ、ちょっと待って」
手を拭いて玄関に向かう翔にぃを追いかけた。
「ん?どうした?」
靴を履き終わって立ち上がる翔にぃ。
「曲がってる」
ネクタイに手を伸ばして整える。
昔から翔にぃは勉強が出来て……
今はバリバリ仕事をこなしているだけど、めちゃくちゃ不器用なんだよね。
「はい、オッケー」
「ん、ありがとう」
翔にぃを見上げていた後頭部に手が回り、そのまま引き寄せられると軽く唇が重なった。
「よし、充電完了」
くしゃっと髪を撫でると、俺を見ながら苦笑いを浮かべた。
「どうした……の?」
「物足りないって顔してるよ?」
「してないもん!」
……してると思う。
もっと、キスしたいもん。
「今日は我慢してね」
今日は我慢なんだ……
「ふふっ、じゃあ……行ってきます」
笑う翔にぃにはきっと、今の気持ちもお見通しなんだろうな。
「行ってらっしゃい。今日は早く帰ってきてね」
「おう、わかった」
仕事に向かう翔にぃを見送ると、リビングに戻った。
「ちょっといい?」
ソファーでテレビを見ていた智にぃと雅にぃに声をかける。
「ん?なに?」
先に雅にぃが振り返り、続けて智にぃも振り返ってくれた。
「お願いがあるんだけど……2人で買い物に行って来てくれない?」
「「えぇぇぇぇー」」
やっぱりか……
予想通りの返事が返ってきた。
「俺も掃除したり、色々準備しないといけないから」
パチンと手を合わせて頭を下げた。
「ねっ?お願いっ!」
「お願いって言われたらねぇ……」
含みを持たせる言い方に恐る恐る顔を上げると、智にぃと雅紀にぃが目を合わせニヤリと笑ってた。