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ブラコンですが、なにか?

第9章 Be loved by Jun①

また聞こえたフレーズ。


約束って、一体なんなの?


聞きたいけど、上がってしまった息を整えるのでいっぱいいっぱい。

「もっ、もちろん!」

焦っている雅にぃが助けを求めるように、智にぃを見つめる。

「わかってるよ」

「ホント、油断も隙もないんだから!ほら行くぞ、和也!」

「うわ…っ」

ズカズカと俺の方に近づいたと思ったら、グッと手を引っ張ると寝室の方へと連れて行かれた。

「潤、ちょっ……待って!テーブルにメモ置いているから買い物、頼んだよ!」

俺の制止も潤は聞かず歩き続けるので、何とか用件を伝える。

「へ~い」

気の抜けた智にぃの返事が背中越しに聞こえたから一先ずは安心。

「ねぇ……どうしたの?」

ようやく寝室に入ったところで、イライラしてる潤の背中に問いかけた。

「ホント……隙だらけなんだよ」

フーッと大きな溜め息をつくと、クルっと振り返って俺を抱きしめた。

「暫くは俺から離れちゃダメだからな」

「でも準備が……」

「だーめ。聞けないなんて言わせないよ?なにせ今日の主役は俺なんだからね?」

身体から離れて、ニッコリと微笑みながら俺を覗き込む。


うっ……

そんな笑顔と言い方されたら反論できないじゃん。


「じゃあ、早速……」

「うわっ!」

俺をお姫様抱っこすると優しくベッドに下ろされる。

「たまにはゆっくり寝な?」

潤も俺の隣に寝ると、抱き寄せて腕枕をしてくれた。

「ふふっ、いい匂い」

俺の髪に顔を擦りつける。


潤だって……いい匂い。


俺も首筋に顔を埋めて大きく息を吸う。

「おやすみ、和也」

潤に包まれる温かさと、髪を優しく撫でる心地よさに少しずつ瞼が重くなる。

「おや…す……」

意識がゆっくりと遠のいていく。




「夜に向けて休みな」

そんな潤の声は俺の耳には届かなかった。

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