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ブラコンですが、なにか?

第10章 Be loved by Masaki①

テーブルに向かい合って座り、黙々と勉強をする。

時々わからないところを雅にぃに聞くと、丁寧に身を乗り出して教えてくれる。


そして答えまで言っちゃうんだよね。


『あちゃー』っと頭を抱える雅にぃは可愛いなって思う。

でも素直に「ありがとう」って感謝を伝えると、目尻に皺を寄せて笑うんだ。


その笑顔も大好きだけど……


合間にチラッと雅にぃを見つめる。

ノートに目線を落とし、パラパラと参考書を捲る。


やっぱり、カッコいいな。


ギャップってこういう事だろうな。


普段見る事のない笑顔を封印した、雅にぃの勉強に取り組む姿に目が離せない。

「ん?どうした?」

真剣だった眼差しのまま目線だけを上げて俺を見つめるから、心臓がドクンと波打った。

「なっ、なんでもない!」

赤くなっている顔を隠すように、目線をノートに落とした。

「ふふっ、変なの。分かんない所があったら言ってよ?」

ワントーン上がった声に抑えきれない笑い。


見なくてもわかる。

きっとニコニコ笑って顔が緩んでるに違いない。


バレバレな態度の自分も恥ずかしくて、必死に頭を勉強モードに切り替えた。



「よし、出来たっ!」

同じ姿勢で凝り固まった身体を伸びで解す。

「お疲れ、頑張ったね」

雅にぃの声に目線を天井からテーブルに落とすと、並べられていた参考書などは綺麗に片付いていた。

「ごめん、待っててくれたの?声かけてくれればいいのに」

慌てて広げていた教科書やノートを片付ける。

「いい時間だったよ?和也の姿を独り占め出来たんだから」

そう言って片付けていた俺の手をパッと雅にぃの手が止めた。

「ま、雅……にぃ?」


ドクンとまた心臓が波打つ。


「でもさ、見てるだけじゃ物足りない。頑張った和也にご褒美……あげる」

俺を止めていた手が後頭部に回されると、雅にぃの顔へと引き寄せられていった。

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