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ブラコンですが、なにか?

第12章 Holiday of Kazunari①

そして俺の手をギュッと握ると、そのまま智にぃは立ち上がって歩き出した。

「ちょっ、スイマセン……」

俺たちの行動に視野が塞がれ、邪険な顔を向ける人達に謝りながら映画館を出る。

「ねぇ、どうしたの?」

俺を引っ張ってスタスタ歩く智にぃの背中に声をかけても何も言わない。

そんな俺たちのただならぬ雰囲気に、映画館のスタッフがこちらをチラチラ見てくる。

俺は『大丈夫です』と伝えるように笑顔を作り、そしてペコペコと軽く頭を下げた。

その間に智にぃは迷うことなく、一直線にトイレに向かった。


連れション……な訳、ないよね?


中に入るとようやく智にぃが足を止める。

「智にぃ、どうしたの?気分、悪いの?まだ……映画の途中だよ」

「誰も……いないな」

俺の言葉を気にも留めず辺りを確認する。

「ねぇ、智にぃ……うわっ!」

ポンポンと肩を叩いた手を掴まれ、個室へと押し込まれた。

「ちょっと、どう……んっ!」

カチャッと鍵をかけると、いきなり智にぃが俺の唇を塞いだ。

必死に智にぃの身体を押したけど、その手はすぐに捕まれ、身体ごと壁に追いやられて逃げられない。

「ふぁっ、さと…にぃ、ま…ぁっ」

必死に酸素を吸い込みながら出した声は、再び重なった智にぃの唇が止める。


さっきよりも激しいキス。


隙間から入ってきた智にぃの舌は、狭い口内では逃れる事なんて出来ない。

簡単に絡め取られ吸われると、抵抗しようとした力も一緒に吸い取られる。

「ぅん…ぁっ、ん…っ」

鼻から抜ける自身の吐息と、くちゅくちゅとお互いの舌が絡む水音。

いつの間にか智にぃの舌を追いかけるように自らの舌を絡める。


気持ちいい……

熱に浮かされ、頭がぼーっとしてくる。


「あ、ちょっと俺、トイレ」

遠くから聞こえた声と近づく足音。

名残惜しいけど残っていた理性で唇を離して智にぃを見つめた。

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