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ブラコンですが、なにか?

第13章 Holiday of Kazunari②

映画もいよいよ終盤に差し掛かってきた。


あっ、このシーンはもしかして……


智にぃと映画に行ってから、ストーリーが気になった俺は『ナラタージュ』について調べた。

そこでファンの間で話題になっていたのは、松本潤の濃厚なラブシーンだった。

でもそのシーンは予告に入っていなかったので気になっていた。

スクリーンに映し出される最初で最後の2人が愛し合う姿。

濃厚だっていう事を完全に忘れて、『ナラタージュ』の世界観に浸っていたのに……


『もぅ、止めてよ』
『いいじゃん、こんなの見たらさ……』

少し前に座っているカップルが、イチャつき始めた。


ちゃんと映画を見てたら、そんな状況にはならないでしょ?

もう……せっかくの映画が台無しじゃん。


何とか意識を映画に戻そうとしても、どうしてもカップルが視界に入ってくる。

ゴホンっと誰かが咳払いをして、間接的に注意を促したが本人には届いてない。

直接注意したいけど、ちょっと強面の人だからみんな見てみぬふり。

『ちょっ、ん…っ』
『それ、ホントに嫌がってる?』

本人たちは勝手に盛り上がってるし、何ならそれに影響されるカップルもいる。


「…っ」

影響されている人がもう1人……いた。


翔にぃが俺の太腿とスーッと撫でた。


「ちょっと、翔にぃ」

小声で抗議すると、翔にぃは俺を見ながら人差し指を口の前に立てた。

「ん…っ」

その瞬間、撫でていた手が上へと伸びて俺のモノに触れた。

俺は慌てて口を手で覆った。

『声、出しちゃダメだよ?』

吐息交じりに耳元で呟く間も、俺のモノを撫で続ける。

翔にぃの手を止めたいけど、片手はギュッと握られているし、口を押えている手を離したら俺のあられもない声が周りに聞こえしまう。

「和也、大きくなってきたね?」


ヤバい……

俺も完全に影響されている人になってる。

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