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もう一度、君に会えたら

第4章 彼氏

「そろそろ、お風呂の準備しよう。
雪ちゃんから先に入ってね」

何でもなかったようにそう言って、立ちあがったところで突然に携帯電話が鳴る。
彼女のカバンから。

「彼氏からの電話?どうぞ?
僕、あっちで黙ってるから」

彼女と身体をあわせている彼氏。。
僕はホテルでふたりきりだというのに、もう手を握ることさえ警戒されてる。

「出ないの?彼氏が可哀想だよ?」

動かない彼女に、僕は尋ねる。
可哀想なんて微塵も思ってないくせに。

すると、彼女が口を尖らせた。

「浮気のいいわけなんて、聞きたくないから」

え?今、なんて?

「彼氏、浮気してたの…?」

「遠距離だからね。寂しいんだって」

そんなっ、雪ちゃんがいるのにっ!

「関係ないよ。
雪ちゃんを悲しませて、ゆるせない。
僕が、出るから!」

彼女が止めるのも聞かず、僕は彼女のカバンから光る携帯電話を取りだした。

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