ここから始まる物語
第10章 裏切り者
もう命は尽きてしまったようです。
しかし、誰もブロミアの死を悼もうとはしていませんでした。フォビスは悔しそうに顔を歪めていますが、それは王という立場を失ってしまったせいでしょう。ブロミアが死んだことを悲しんでいるようには見えません。
ピスティもまた、悲しい気持ちにはなりませんでした。それに、目の前で起こったことはあまりにも衝撃的でした。
フォビスが父を庇ったこと、でも、それが、ブロミアのためではなく、フォビスがエカタバガンにブロミアを売るためだったこと、それを知ったブロミアが、今までずっと憎んでいたはずのピスティを王に指名したことなどなど・・・・・・。
あまりにも目まぐるしい裏切りと復讐に、ピスティは悲しみさえ感じることもできなくなっていたのです。もっとも、ブロミアはピスティをずっと蔑んできたのです。たとえ心に余裕があったとしても、悲しむことはなかったかもしれませんが・・・・・・。
「ピスティさま!」
ぼうっとしていたピスティの耳に、明るい声が飛び込んできました。
我にかえって声のした方を見ると、クリシーの姿がありました。
「ピスティさま。おめでとうございます。今この時から、ピスティさまはアウィーコート王国の王です!」
その言葉が終わるや否や、民衆たちはどっと湧き上がりました。
いっせいに駆け寄ってくると、喜んだり泣いたりし始めます。
フウとライとゲンも、そしてレナも、民衆に混じってそれぞれに喜んでいます。
その騒ぎを聞いていると、今までに感じたことのない気持ちが沸きあがってきました。その気持ちをなんと呼ぶのか、ピスティはいくら考えてもわかりませんでした。まるで体が宙に浮いているような、そのままどこまでも昇っていってしまうような、そんな奇妙な感覚です。
しかし、誰もブロミアの死を悼もうとはしていませんでした。フォビスは悔しそうに顔を歪めていますが、それは王という立場を失ってしまったせいでしょう。ブロミアが死んだことを悲しんでいるようには見えません。
ピスティもまた、悲しい気持ちにはなりませんでした。それに、目の前で起こったことはあまりにも衝撃的でした。
フォビスが父を庇ったこと、でも、それが、ブロミアのためではなく、フォビスがエカタバガンにブロミアを売るためだったこと、それを知ったブロミアが、今までずっと憎んでいたはずのピスティを王に指名したことなどなど・・・・・・。
あまりにも目まぐるしい裏切りと復讐に、ピスティは悲しみさえ感じることもできなくなっていたのです。もっとも、ブロミアはピスティをずっと蔑んできたのです。たとえ心に余裕があったとしても、悲しむことはなかったかもしれませんが・・・・・・。
「ピスティさま!」
ぼうっとしていたピスティの耳に、明るい声が飛び込んできました。
我にかえって声のした方を見ると、クリシーの姿がありました。
「ピスティさま。おめでとうございます。今この時から、ピスティさまはアウィーコート王国の王です!」
その言葉が終わるや否や、民衆たちはどっと湧き上がりました。
いっせいに駆け寄ってくると、喜んだり泣いたりし始めます。
フウとライとゲンも、そしてレナも、民衆に混じってそれぞれに喜んでいます。
その騒ぎを聞いていると、今までに感じたことのない気持ちが沸きあがってきました。その気持ちをなんと呼ぶのか、ピスティはいくら考えてもわかりませんでした。まるで体が宙に浮いているような、そのままどこまでも昇っていってしまうような、そんな奇妙な感覚です。