ここから始まる物語
第11章 幸せの終わり、不幸の始まり。
ライも驚いていましたが、いつも明るいライらしく、すぐにピスティの言葉を飲み込んで、
「それはおめでたいだな。新しい王さまになったその日に、花嫁まで決まるなんて、こんなにめでたいことはないだよ!」
と素直な言葉で喜んでいます。
民衆も、お祝いの言葉を溢れるほどに投げかけてくれます。
でもピスティは、まだ喜べませんでした。まだ、レナの返事を聞いていないのです。
「レナ。僕の妻になってくれないか」
「え、そ、そんなこと、急に言われても・・・・・・」
気の強いレナも、さすがにたじろいでいる様子です。顎を引いて、大きな黒目をきょろきょろと動かしています。
「駄目かい」
「駄目じゃないわ。でも、私は――」
「お願いだ。僕の妻になってほしい」
するとレナは、しばらく口を尖らせて何かを言いたそうにしていましたが、
「そんな言われ方したら、妻にならないわけにはいかないじゃない」
「じゃあ・・・・・・」
「謹んで、お言葉を賜ります。ピスティ王」
レナは顔いっぱいに笑みを浮かべて、ピスティに抱きついてきました。それがいきなりのことだったので、ピスティはよろけてしまいましたが、レナの小さな体を受け止めた瞬間の柔らかさと小ささと温もりは、何よりも美しくて心地よくて、幸せなものでした。
広場に響き渡る祝福の声は、よりいっそう、高まりました。
ピスティは、これまででもっとも幸せな気持ちになりました、この瞬間が永遠に続けばいいとさえ思ったほどです。
しかし、その幸せな気持ちは――すぐに壊れてしまう運命にあったのでした。
※
王になって妻まで迎えたピスティの幸せは、どうして壊れてしまうのでしょうか。
そして、クリシーが娘に話したひらめきとはいったい、どんなものだったのでしょう?
アウィーコート王国の明暗を分ける事件が、これから起ころうとしています。
「それはおめでたいだな。新しい王さまになったその日に、花嫁まで決まるなんて、こんなにめでたいことはないだよ!」
と素直な言葉で喜んでいます。
民衆も、お祝いの言葉を溢れるほどに投げかけてくれます。
でもピスティは、まだ喜べませんでした。まだ、レナの返事を聞いていないのです。
「レナ。僕の妻になってくれないか」
「え、そ、そんなこと、急に言われても・・・・・・」
気の強いレナも、さすがにたじろいでいる様子です。顎を引いて、大きな黒目をきょろきょろと動かしています。
「駄目かい」
「駄目じゃないわ。でも、私は――」
「お願いだ。僕の妻になってほしい」
するとレナは、しばらく口を尖らせて何かを言いたそうにしていましたが、
「そんな言われ方したら、妻にならないわけにはいかないじゃない」
「じゃあ・・・・・・」
「謹んで、お言葉を賜ります。ピスティ王」
レナは顔いっぱいに笑みを浮かべて、ピスティに抱きついてきました。それがいきなりのことだったので、ピスティはよろけてしまいましたが、レナの小さな体を受け止めた瞬間の柔らかさと小ささと温もりは、何よりも美しくて心地よくて、幸せなものでした。
広場に響き渡る祝福の声は、よりいっそう、高まりました。
ピスティは、これまででもっとも幸せな気持ちになりました、この瞬間が永遠に続けばいいとさえ思ったほどです。
しかし、その幸せな気持ちは――すぐに壊れてしまう運命にあったのでした。
※
王になって妻まで迎えたピスティの幸せは、どうして壊れてしまうのでしょうか。
そして、クリシーが娘に話したひらめきとはいったい、どんなものだったのでしょう?
アウィーコート王国の明暗を分ける事件が、これから起ころうとしています。