
ここから始まる物語
第11章 幸せの終わり、不幸の始まり。
レナは労るように言いました。
「病院と、井戸と、市場が必要なのよね」
「うん、今はそういう話になってるね」
二人が会話をしている間にも、家来たちは堂々巡りの議論に白熱しています。ピスティとレナは置いてけぼりです。
「それ、私がなんとかしてあげようか。私、魔法使いだから」
「本当かい」
ピスティは一瞬だけ明るい気持ちになりましたが、すぐに考え直しました。
「いや、いいよ」
「なんで? みんな困ってるんでしょ」
「そうだけど、病院と井戸と市場をみんな引き受けるのはさすがに大変なんじゃないかな」
「そんなことないわ。魔法を使えば簡単よ。私に任せてってば!」
レナは張り切っているようです。両手を握りしめ、溌剌とした表情を浮かべています。
魔法の力がすごいものだということは、ピスティも知っています。崖から落ちたところを助けてもらったこともあるし、治らないと言われていた腕の怪我も治してしまったのですから。
しかしピスティは、レナが溌剌とするほどに、それが嘘なのではないかと思えるのです。まだ知り合ってから間もないですが、レナが疲れているところを見たことがありません。ため息ひとつつかないのです。
いくら魔法使いが大きな力を持っていたとしても、まったく疲れないなんてことは考えられません。
レナは、もしかしたら疲れを隠しているのかもしれません。ピスティに心配をかけないように。
「レナ、無理しなくていいんだ。疲れているのなら、休んでもいい」
「私、疲れてなんて、いないわ。本当に簡単なんだから、私に任せてよ」
レナはますます顔を輝かせますが、ピスティにはそれが、ますます疲れを覆い隠そうとしているように見えてならないのです。
「病院と、井戸と、市場が必要なのよね」
「うん、今はそういう話になってるね」
二人が会話をしている間にも、家来たちは堂々巡りの議論に白熱しています。ピスティとレナは置いてけぼりです。
「それ、私がなんとかしてあげようか。私、魔法使いだから」
「本当かい」
ピスティは一瞬だけ明るい気持ちになりましたが、すぐに考え直しました。
「いや、いいよ」
「なんで? みんな困ってるんでしょ」
「そうだけど、病院と井戸と市場をみんな引き受けるのはさすがに大変なんじゃないかな」
「そんなことないわ。魔法を使えば簡単よ。私に任せてってば!」
レナは張り切っているようです。両手を握りしめ、溌剌とした表情を浮かべています。
魔法の力がすごいものだということは、ピスティも知っています。崖から落ちたところを助けてもらったこともあるし、治らないと言われていた腕の怪我も治してしまったのですから。
しかしピスティは、レナが溌剌とするほどに、それが嘘なのではないかと思えるのです。まだ知り合ってから間もないですが、レナが疲れているところを見たことがありません。ため息ひとつつかないのです。
いくら魔法使いが大きな力を持っていたとしても、まったく疲れないなんてことは考えられません。
レナは、もしかしたら疲れを隠しているのかもしれません。ピスティに心配をかけないように。
「レナ、無理しなくていいんだ。疲れているのなら、休んでもいい」
「私、疲れてなんて、いないわ。本当に簡単なんだから、私に任せてよ」
レナはますます顔を輝かせますが、ピスティにはそれが、ますます疲れを覆い隠そうとしているように見えてならないのです。
