ここから始まる物語
第12章 罠からの脱出
「まあ、なんて素敵な庭かしら」
コーリーは、昼間と同じく、粗末な服を着ています。きっと決して豊かとは言えない生活を送っているのでしょう。もしかしたら、花に見とれる余裕すらも、今までにはなかったのかもしれません。
コーリーは、胸元で両手を握りしめ庭全体を眺めています。その瞳は、純粋に輝いていました。
「ところで王さま」
庭に見とれていたコーリーが、突然ピスティに声をかけてきました。
「なんだい」
胸がどきりと鳴ります。
「どうして王さまは、こんな夜中に庭にいたのですか」
「それは――」
ピスティは溜息をつきました。レナの乱暴な行いや言葉は、思い出すだけでも腹が立ちます。あの気分の悪い怒りがまた盛り返してくると思うと、話すのをためらってしまいます。
「王さま、私は王さまに助けていただきました。恐れ多いことですが、今の王さまを励ますことが出来るのであれば、どうかその話を私に聞かせてください」
まるで澄んだ泉のような瞳で、コーリーはピスティを見つめます。
その瞳に、ピスティは吸い寄せられるように、なんの抵抗もなく、レナに言われたことやされたこと、その挙句にレナが出ていってしまったことをみんな話してしまいました。
「王さま、それはお辛いことだったでしょう」
コーリーはおもむろにピスティの手を両手で握りました。ピスティはびっくりして思わず手を引っ込めそうになりましたが、コーリーの手の、柔らかくて、ちょっとだけ汗で湿っている感触が幸せで、結局手を預けたままにしていました。
「私が、王さまのお気持ちをお救いできればいいのですが・・・・・・」
コーリーは、ピスティの手を胸元に引き寄せます。今まで触れたことのない柔らかさと暖かさが、ピスティの手を包みました。
ピスティは息を飲んで、その心地良さに溺れ、また耐えていました。
コーリーは、昼間と同じく、粗末な服を着ています。きっと決して豊かとは言えない生活を送っているのでしょう。もしかしたら、花に見とれる余裕すらも、今までにはなかったのかもしれません。
コーリーは、胸元で両手を握りしめ庭全体を眺めています。その瞳は、純粋に輝いていました。
「ところで王さま」
庭に見とれていたコーリーが、突然ピスティに声をかけてきました。
「なんだい」
胸がどきりと鳴ります。
「どうして王さまは、こんな夜中に庭にいたのですか」
「それは――」
ピスティは溜息をつきました。レナの乱暴な行いや言葉は、思い出すだけでも腹が立ちます。あの気分の悪い怒りがまた盛り返してくると思うと、話すのをためらってしまいます。
「王さま、私は王さまに助けていただきました。恐れ多いことですが、今の王さまを励ますことが出来るのであれば、どうかその話を私に聞かせてください」
まるで澄んだ泉のような瞳で、コーリーはピスティを見つめます。
その瞳に、ピスティは吸い寄せられるように、なんの抵抗もなく、レナに言われたことやされたこと、その挙句にレナが出ていってしまったことをみんな話してしまいました。
「王さま、それはお辛いことだったでしょう」
コーリーはおもむろにピスティの手を両手で握りました。ピスティはびっくりして思わず手を引っ込めそうになりましたが、コーリーの手の、柔らかくて、ちょっとだけ汗で湿っている感触が幸せで、結局手を預けたままにしていました。
「私が、王さまのお気持ちをお救いできればいいのですが・・・・・・」
コーリーは、ピスティの手を胸元に引き寄せます。今まで触れたことのない柔らかさと暖かさが、ピスティの手を包みました。
ピスティは息を飲んで、その心地良さに溺れ、また耐えていました。